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受講生がエッセーを出版
 「人生は最終回のない連続ドラマ」

 何気なくこの言葉を見たとき、きっと本を手に取り、ページを繰ってみたくなるはずです。それは単なる本の帯を飾るキャッチコピーではなく、作者の思いを凝縮したことばであり、メッセージなのですから。

出版した「ハトポッポノ石」を手にする岩本さん この本は「ハトポッポの石」(うえのたみこ)という小さなエッセー集。「すらすら文章教室」を受講している岩本その枝さん(67)がこれまでの文章や最近のエッセーをまとめて出版しました。以前に自費出版した2冊を見た出版社から本にまとめる話が持ち込まれ、表紙カバーも自作しての本に出来上がりました。

 戦前の旧満州(中国東北地方)に生まれ、戦死した父との別れから始まり、「私のあしあと」と3章に分かれた「くらしの風景」で成長をたどり、恋を語り、島の教員生活、子どもたち、夫婦のありようなどを淡々とした筆致で綴ります。技巧を抑えた伸びやかな文章がさわやかな読み味となっています。

 文章を書き、読み合う。近くの図書館でそんな活動に参加していたことがあり、朝日カルチャーセンターの文章教室に参加するようになったという。もう10年近い受講で、講師やクラスの顔ぶれも変わったが、書き続けることが暮らしの中にあり、仲間に読んでもらい、批評してもらうことが楽しみだという。

 「教室で原稿に直しの赤字を入れてもらうのがうれしくて出席しています」という岩本さんに、渡辺斉講師はこう言っています。「ほとんど手を入れる必要のない文章。書けるものを持っている人なので」。

 「あしたてんきになあれ」「いわしぐも」。自費出版した2冊も友人や仲間に読んでもらいたくて作った。こんどの「ハトポッポの石」も日常のひとこま、暮らしの中でふと気付いたことやふりかえることなどを書き留めた文章。読む人それぞれが人生と思い合わせながらページをめくることでしょう。

 「ハトポッポの石」とは何でしょうか。それは、京都での生活からずっと一緒に歩んできた物語。さあ、183ページを開いてください。
出版された「ハトポッポの石」
 今は退院したご主人と暮らす岩本さん。「病院に毎日通い、夜は自宅でひとり、文章を書きつづることが自分を支えてくれた」という。夫が病気で倒れ、車で病院に駆けつける途中に、ある言葉がひらめいた。信号待ちの間に大急ぎでメモをした。あとで出版社に連絡して本の帯に入れてもらった。もうこれで最終日というぎりぎりの突っ込みだったという。それは……

 「人生は最終回のないドラマ」


文芸社刊「ハトポッポの石」(四六判244頁。定価1,365円税込み)は栄教室でも取り扱っています