|
「普通の版画は彫ったところが白くなるのに、どうして銅版画は逆なの?」
こんな疑問を抱いてしまう程、私はまったくの門外漢。
でも、このクラスの皆さんが毎年作っていらっしゃる作品集の個性の輝きに魅せられて、分からないなりに他の方に伝えられることがあるかもと、取材に行ってきました。
まず、驚いたのが、銅版画は、薬剤を使うということ。
教室内に独特のにおいがしていました。
でも、この薬剤が大切なポイントでもあったのです。
銅版画は版を彫る前に薬剤を板に塗ります。その日まず私が見せていただいたのは、ハードグランドというもの。これは、松脂、蜜蝋、アスファルトをベンジンで溶かしたものだそうで、これを塗ると版に薄い膜ができます。その後引っかいて溝を作り、硝酸の中に入れて、彫ったところを腐食させます。この腐食させる時間によっても作品に違いができるのだそうです。
その後、ガソリンで薬剤を取り除いて、インクをのせ、寒冷紗などでインクをふき取り、プレスします。
ところで、上の過程で硝酸につける部分。
ここで銅版を入れると問題があるため、硝酸を使う場合は、亜鉛板を使うのだそうです。銅板ばかりではないのですね。あまりないことですが、鉄板を使うこともあるそうです。
薬剤を使うということで、家で気軽にというわけにはいかないのですね。
朝日カルチャーセンターのように設備が整っているところで制作するのが一番。
「家で彫ってきて、ここで刷るようにしています。私はとことん凝りますよ」という受講生さんは、プレスしてはがす瞬間がいいのよと笑顔で教えてくださいました。
なぜ、彫った部分が黒くなるのか、もうおわかりでしょうか?インクをのせてから、一度ふき取るのです。でも、彫った部分は溝になっているため、拭き取られないというわけ。そしてプレスをすると、インクが入っている部分が黒くなるということです。ふむ、「面での表現をする木版画」と「線での表現を中心とする銅版画」というイメージがあるのは技法の違いなんだなあと、漠然と思いました。
ソフトグランドという技法もあるそうです。
この日は、鳥の羽根を版に写される方がその技法を使っていらっしゃいました。
見事に鳥の羽根が版に表現されていました。
(すみません、具体的なやり方は、伺いませんでした…)
同じソフトグランドでも、上にトレーシングペーパーを重ねて絵を写すなど、それぞれにやり方が工夫できるところが銅版画の面白さの一つ。
「同じやり方でマネしてみようと思っても絶対にできない。同じやり方をしても違ってきてしまうのです。思うようにいかないもどかしさもありますが、偶然に助けられて、思いもよらない表現ができることもあるのですよ」とは、受講されている方のお言葉。
それぞれの技術をベースに偶然が手を貸して、あの魅力的な作品ができるのですね。
 この日は表装の一つとして、缶バッチ作りに励んでいらっしゃる方々も。
紙を薄くするためにせっせと削っていらっしゃるお姿を見たときは、「!?」と思いましたが、こんなユニークな方法も“あり”なのですね。
「同じことばかりやっていると飽きてしまうからね」と、判治先生。
たくさんの技法、たくさんのアイデア…色々な組み合わせで表現の仕方が無限に広がるのでしょう。そして、それを支えていらっしゃるのが判治先生のアドバイスのようです。
ちなみにこの缶バッチ、商品にして下さったら買いたいなあと私は思いました。
2005/6/11
|