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風薫る皐月の宵に話題の街、名古屋の覚王山の一角にある「庭園ギャラリーいち倫」で「平家琵琶を聞く」という
新しい試みが催されました。
黒塀の日本家屋、手入れされた日本庭園、なんとも、琵琶の響きにマッチした雰囲気の中で幽玄の世界に浸る
夕べとなりました。
語りはうら若き女性ではありますが、前田流平家詞曲相伝の鈴
木まどかさん。
母方が平家詞曲相伝の家である弘前藩楠美家のご出身。と聞くと、いかにも、幼少の頃からその道に励んで来たのかと
思いきや、そうではなく、12歳の時に急に目覚めて、平家詞曲を志したとか。琵琶を持ち、平家物語を語るときの
講師と普通に会話をするときのギャップが楽しい方です。
今回の語りは祇園精舎、忠度都落、那須与一、桜。琵琶には成立した時代や音楽性の異なる数種類の琵琶があることや、
平家物語は鎌倉時代から700年以上の間、盲人たちが語り伝え江戸時代には大名や武家の教養ともなった
伝承文化であることなどわかりやすく解説してくれました。
平家琵琶は平家物語を語るためのもので、演奏そのものは筑前琵琶のような派手さはありません。
一般的には琵琶と言えば、「耳なし芳一」の時の勇壮な音を想像してしまうかもしれません。今回、平家琵琶を聞いて、
その違いに驚かれた方もいたことでしょう。
語りを聞いて「耳で詠む」、「情景を目に浮かべる」という、まさに五感にひびく世界なのでした。
講師の指導で受講者全員が実際に声に出して言ってみたり、琵琶に合わせて音の上げ
下げを体験してみました。「竿や〜、竿竹〜」という節回しにも古典の旋律が生きていたのです。これは驚きでした。
私達の生活の中に伝統の旋律が今も生きているのですね。
私個人としては「那須与一」が印象的。与一が鏑矢(かぶらや)をつがえ、
「能引て(よっぴいて)ひょうと放つ」という言葉が耳に心地よく、紅の扇が空にひらひらと舞い上がり、
夕日が扇に反射する情景が目に浮かぶようでした。このような日常からしばし離れ日本の神髄に触れるのは
心のぜいたくと言えるのではないでしょうか。今回は大勢の方が参加希望されたにもかかわらず、人数に制限があり
残念ながらすべてのかたに来ていただくことができませんでした。そこで、秋にはまた、第2弾があるとのこと。
ひとときのタイムスリップにお誘いしたい、多くのかたに体験してしていただきたいそんなお勧めの講座になりました。
(グレちゃん)
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