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3月にプレ講座として名古屋市内白壁地区をめぐる小さな旅講座を行いましたが、4月からいよいよ本格スタートとなりました。
第一回目は名古屋市名東区のクラヴサン工房アダチを訪ね、工房見学をして来ました。
実際のチェンバロを間近で見たり触ったり、チェンバロ製作にまつわる興味深いお話をオーナーの安達正浩さんから
聞いたりして、時間があっという間に過ぎ去ってしまいました。
チェンバロ(Cembalo)は中世ヨーロッパの17〜18世紀に人気を集めた鍵盤楽器で、英語ではハープシコード、フランス語ではクラヴサンと言います。
「クラヴサン工房アダチ」の安達さんは、フランスで本格的なチェンバロづくりを学んで来られたそうです。だから安達さんにとっては、チェンバロという呼び名よりクラヴサンという名に馴染みがあるのでしょうね。
(ちなみにわたしはハープシコードと言っていました。でもここでは一般的に一番馴染みのあるチェンバロという呼び名を使います)
この日は17名の受講生が参加。ほとんどの人が地下鉄東山線「上社」駅で集合し、タクシーに乗り合わせて安達さんの工房に向かいました(約5分ほど)。
工房内には何台か製作中のチェンバロがあり、さまざまな道具類、木材が置かれていて、皆さん興味深々の面持ち。
そこに登場された安達さんは「職人」「匠」という言葉から想像しがちな気難しく寡黙な男性とはかけはなれた方で、ユーモアたっぷりにわかりやすくお話されるので、場は一気にリラックスしたいいムードに。
まず安達さんの自己紹介から語られました。
元々は大学院で半導体の研究をされていて、卒業後は大手への就職も内定していたそうです。大学時代にチェンバロの音色にほれこみ、大学院時代にはチェンバロ工房に住み込みアルバイトしていたものの、プロになれるとは思わなかったそうですが、「自分にしかつくれない珍しいチェンバロづくりに一生をかけよう」と決意してこの道に入られたとのことです。
チェンバロの歴史、主な種類、構造などについても、現物を自分の目で見て、安達さんのトークにひきこまれながら教えてもらえるので、教室での講義よりずっとよく頭に入って来ます。チェンバロの主な種類には「フランダース」と「イタリアン」があり、どう違うのか、なぜ違うのかというお話や
製作過程で安達さんは接着剤を使わず、にかわを使うのはなぜかというお話など、非常に興味深い珍しいお話が印象的でした。
工房から二階のサロンへ移り、そこでは安達さん製作のチェンバロによって、少し音色を聞かせてもらいました。
安達さんの大好きなヨハン・ヤーコブ・フローベルガーの組曲「アルマンド」という曲で、チェンバロの美しい音色が、人の心の深いかなしみを伝えて来ます。ヨーロッパ中世に生きた人の感情を実感できるなんて、滅多にないことです。小さな旅のはずが、とても遠いところまで旅ができたような満足を味わいました。
2005年4月 (りん)
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