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<講座リポート>

プレ講座
講師:「手の仕事」編集長  小出 朝生      3/3(木) 10:30〜14:00
 
第1回は白壁町界隈を訪ねる旅

今ではお屋敷が並ぶ閑静な住宅地として知られている白壁周辺がかつては日本の陶磁器絵付加工の中心地で 絵付工場や貿易商社が集まった所だったと聞いただけで、興味津々。

当日は主税町教会前に集合して、さっそく陶磁器輸出商であった春田鉄次郎の春田邸へ。 現在は半分がレストランになっていて、残りを名古屋市が管理しており、今回はその部分をガイドボランティアの方の 案内で見せていただき、当時の優雅な生活に思いを馳せた後、陶磁器会館へ。

陶磁器会館玄関ホール

陶磁器会館の外観は少しくたびれたタイル貼の建物だけれど、 一歩中に入ると小さな玄関ホールの欄間にはステンドグラスも入り、簡素ながら雰囲気のある空間になっていました。

1階のギャラリーには壁いっぱいに戦前から戦後にかけて絵付加工された洋食器などが所狭しと展示されています。 そこで陶磁器の絵付職人、加藤茂さんが私たちを待っていてくれました。 職人と聞くだけで気むずかしく寡黙なイメージがありますが、予想に反して加藤さんはとても気さくな方で、 小出先生の紹介が済むと、「じゃあ始めましょうか、今回は金粉を使った絵付けの実演です。」と 用意していた道具を手にとってさっそく絵付けの実演です。 下絵も描かず、いきなり皿に絵を描き始めたのにはびっくり。 後で絵付けをした後、焼き付けをするととれなくなるが、焼き付けるまでは水で簡単に落とせるときいて納得しましたが、 まるで手が絵を覚えてしまっているようでした。

加藤さん

絵付けをしながらいろいろな質問にも丁寧に答えてもらいました。 職人はそれぞれ自分でデザインをし、自分の絵をもっていたこと、それをバイヤーに見せて注文をもらい、 たくさんの注文があれば仲間に手伝ってもらってこなしていたことなどをお聞きし、 加藤さんたちは単に絵付けのすぐれた技術をもっていた職人というだけでなく、 デザイナーでもあったことに感動しました。 そう思って周囲に並ぶ洋食器などを見ていくと、どれも本当に個性的なデザインで、 それぞれがその職人の作品なんだなあと改めて感じました。 そんな絵付けの世界も安くできる転写が出てくると仕事も激減。 現在、絵加藤さんのような絵付けの技術を持っている人は本当に少ないそうです。

今、万博の影響なのか「ものづくり」が注目されているけれど、現実は地道に技術をもってものづくりをしている人が どんどん減っていて、それに対する危機感もあって「ものづくり」が注目されているのかもしれないのかな、 と考えてしまいました。 でも、この現実って実は私たち自身が「ものづくり」に対する関心を失って、同じようなデザインで安いなら、 手描きのものでなくたって、転写でもOK。と思っているせいでもあるのかもしれませんね。

その後、ちょっと離れた陶磁器センターへも足をのばしました。 ここには、戦争中に陶磁器生産を続け、また動員免除を受けるための審査のために全国から集められた 優れた陶磁器(これがなかなかよかった)を入れ替えで展示していて、その展示をみせていただいた後、 タクシーを相乗りして「空色曲玉」へ。

ひなまつりちらし 空色曲玉

「空色曲玉」はオーガニックの食材を使ったメニューのオーガニックカフェ。 ここでひなまつりにちなんだ玄米ちらしのランチをいただきながら、 小出先生が長年発行してきた雑誌「手の仕事」のこと、ものづくりへの思い、印象に残っている職人さん、 春からの講座でうかがう職人さんのことなどについてうかがいました。 今回参加されなかった人にもぜひ、小出さんがものづくりに惹きつけられているワケなど知って欲しいなと思い、 ちょっと長くなりますが「手の仕事」の編集後記に小出さんが書かれた文章を引用させてもらいます。

「この前、どうして『手の仕事』を発行しているのか?という質問を受けました。 これまでも何度か聞かれたことはありますが、明確に答えることができませんでした。 しかし、今回、改めて考えてみて、結局『誰かがどこかで何かをつくっていることを知る驚きを感じたいから』に つきると思いました。天然のものでない限り、世の中にあるものはすべて、誰かがつくったものです。 その誰かは、私たちと同じように悩んだり、喜んだりしている人間です。 おそらく、私たちは、なぜものをつくっているのかという問いに答えることはできません。 少なくとも、そんな質問に答えることよりも、実際にものをつくることのほうがずっと大切であることは間違いないでしょう。 私も何度か、なぜものをつくっているのかと質問したことがあります。でも、それは愚問にすぎません。 そんなことを聞かれる前から、ずっと人はものをつくっているからです。 だったら、その現場をしっかりと目に焼き付け、何かを感じたい。その先のことはわかりません。」

この文章を読んで、そういえば、今手にもっているコーヒーカップって、 誰が、どこで、どんな風につくっているのだろう、と思ったあなた、 4月からの「ものづくりをめぐる小さな旅」で小出さんと一緒に、ものづくりの現場を見にいきませんか?

ちなみに、5月に訪ねる帽子屋さんは、あの椎名林檎がコンサートでかぶっている帽子(ってどんな帽子?)も つくっているそうですよ。 2005/03/07(

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